藤ヶ谷太輔さん インタビュー全文

Q:オファーがきたときの印象はいかがでしたか?
A:元々「この本は僕が人生で一番刺さって感銘を受けた大好きな作品です」と色々なところでお話させていただいていました。それがまわりまわって自分にオファーをいただけることになり、この仕事をしていて良かったなって思いましたね。「もしこの作品の架役を誰かが演じることになったら僕は一生後悔するだろうな、絶対僕がやりたい」と年々想いが強くなっていたので、今回架役をいただけて本当に嬉しいです。僕の俳優人生の中でも並々ならぬ想いで演じています。
小説がとにかく好きだったので、好きがゆえに難しいところもありました。小説をそのまま映像で見せるということはできないので、原作の魅力はしっかりと捉えながら、萩原監督のチームで出せる画・言葉・音をどう組み合わせるか、そのバランスについては奈緒さんも含めて撮影前にチームで熱心に話し合いました。監督と奈緒さんとは密に議論を重ね、クランクイン前にも一緒に食事をしながらずっと作品について語り合っていました。そうした準備が、良いスタートに繋がったのではないかと思います。
Q:原作を初めて読んだときの感想はいかがでしたか?
A:5年ほど前に初めて読みました。「10代や20代の時にこの本に出会いたかった」と読んでまず思いました。「傲慢と善良」もそうですけど、辻村さんの作品は僕が子どもの頃に置いてきてしまった気持ちや感じていたことが言語化されているんですよね。辻村さんは僕のこと知っているのかな、僕のために書いてくれているんじゃないかなって思うくらいです(笑)。「あ、これだ!」って、自分が読んでいる当時にモヤモヤしていたことが言語化されていく感じです。恋愛面だけではなくミステリー小説としても魅力的で、ヒリヒリするし緊張感も伝わってきます。年齢を重ねてから読み返すと、この本の魅力や深さに改めて気づくこともできる、とにかく素敵な作品です。
Q:実際に辻村さんとお会いしていかがでしたか?
A:とても嬉しかったです!辻村さんにお会いしたいといろんな場面で言っていたので、夢が叶いました。架や真実の生みの人にお会いできるわけですからものすごく緊張しましたが、実際お会いして「架と真実が小説から出てきたようなお二人です」と僕たちに声をかけてくださってとても光栄でした。辻村さんが「私は自分の作品が映画になったときに、自分の書いた言葉が映画だとどう集約されて表現されるかっていうのをすごく楽しみにしているんです」とおっしゃっていたのも印象に残っています。この言葉を聞いて、僕らもそうですけど撮影スタッフも含めて現場全体が安心しましたね。
Q:今回二度目の共演となる奈緒さん。ご一緒されていかがでしたか?
A:本当に素敵な方です。皆さんがイメージされているであろうナチュラルで柔らかい雰囲気もお持ちですが、お芝居になると芯の強さが出てくるんです。前に共演したのは4年ほど前だと思いますが、その時から根本は変わらないけど、いろんな作品に出られていろんなものを吸収してさらに自信を持たれた印象です。演じることを以前よりもすごく楽しんでいる、そういう幸せそうな雰囲気が増したように感じました。
Q:映画公開を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
A:まず原作の「傲慢と善良」という作品がとにかく面白いので、それが映画化され、作品に参加することができ、感無量です。原作の大ファンなのでどんどん立体的になっていくのを体感することができました。夢が叶っていく瞬間をチームで作り上げることができて嬉しかったです。刺さる言葉がたくさん出てきますし、映画を観終わったあとにきっと新しい気付きを見つけられる作品ですので、ぜひ劇場でご覧ください。

奈緒さん インタビュー全文

Q:オファーがきたときの印象はいかがでしたか?
奈緒:すごく嬉しかったです!「傲慢と善良」の原作カバーのイラストがあるのですが、恐らく真実をイメージして描かれているのではと思っていますが、それを見た時に「もしかしたら近づけるかもしれない」というのは感じましたし、私自身いいところばかりの人間ではないのですが、昔から「いい子だよね」と言われ善良に見られることが多いんです。そういった部分はリンクしましたし、真実と同様に地方出身なので、ならではの恋愛観や価値観はとても共感できましたし、一つ何かが掛け違っていたら真実と同じような選択をしていたかもしれないと感じる所もありました。真実を見て「枝分かれした人生を自分の力で一生懸命たどりたい、自分の人生を生きたい」と強く感じました。真実の不器用さを全部肯定して心から愛したいと思ったので、真実という役をいただけて本当に光栄だなと思いました。
Q:原作を初めて読んだときの感想はいかがでしたか?
A:元々辻村さんの作品はすごく大好きで、ミステリー要素があって予想がつかないことが多いのですが、今回の原作を読んだときは、誰のどの部分に共感するか男女それぞれで解釈が変わってくる作品だなと思いました。読後もまだ架や真実の気づけていない気持ちがあると思いますし、見る人によってすごく余白のある作品なんじゃないかなと思います。余白が多い分「傲慢ってなんだろう?」とか、自分が傲慢だと思っていた部分が実はすごく愛おしい部分で善良な部分だったんだって気づけたり、人間が生きているなかで名前を付けられない気持ちとか、自分自身で好きになれなくて蓋をしたいところを「傲慢と善良」という言葉が救ってくれるんです。それにミステリーの要素が組み合わさっているのでなおさら面白い原作だと思います。
私ももうすぐ30代になるなかで周りの友達も結婚する子や実際に婚活をしている子もいて特に男性も女性もだと思うのですが、20代から30代になるときはちょうど人生の選択を考える時期だと思うので、自分の今の考えにもフィットするような部分があって改めて自分の人生も見つめ直すきっかけになりました。
Q:今回二度目の共演となる藤ヶ谷さん。ご一緒されていかがでしたか?
A:私たち2人は本当にお喋りなんです(笑)。藤ヶ谷さんも沢山お話ししてくださいますし、私自身も思いついたことを脈略なく言うところがあるのですが、藤ヶ谷さんは全部受け止めてくれてちゃんと一緒に真剣に考えてくれて、どんなくだらないことでも一緒に話してくれるので、本当にいっぱい喋ったな~って思います。クランクインして二日目くらいのときに藤ヶ谷さんが「俺たちめちゃくちゃ喋ってない?」とおっしゃってました(笑)
「めちゃくちゃ喋ってますよね、でもなんかお互い大人になりましたよね」とか(笑)
藤ヶ谷さんは年上の先輩ということもあり、当時お話していたことは自分自身まだ見えていないことも多かったんですが、今回は共感できる部分も多かったですし、お互い大人になりましたね、と話していたんです(笑)。お互い大好きな作品で一緒に作り上げられたっていうのは嬉しかったですし、藤ヶ谷さんも気遣いの方なので現場の皆さんに対しての心配りや、座長としても私に寄り添ってくれてとても信頼していました。チームがすごく穏やかだったのは藤ヶ谷さんのおかげだなと心から思っています。今回二回目で本当に嬉しいんですけどまたぜひご一緒したいですし、その時にもっと自分が藤ヶ谷さんのお力になれるように頑張ろうと感じました。幸せでした。
Q:公開を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
A:『傲慢と善良』、皆さんに是非見て頂きたい作品となりました。皆さんに希望を見いだしていただけるような作品になったと思います。ぜひぜひ劇場で体感していただきたいです。『傲慢と善良』、ぜひ見てください!